疼痛、発熱、尿閉、肉眼的血尿などの患者は原則的に入院させて点滴などで経過を観察し、翌日泌尿器科を紹介してください。1. 尿管結石
泌尿器科救急疾患ですぐ命を失うことは稀だが救急室での正確な診断が大切な疾患が多い。
尿管結石のみならL/R等の輸液(結石を流しだすためではなく悪心嘔吐に対しておこなう)とペンタジン等の沈痛剤投与でよいがその際、元来結石による疼痛は沈痛剤が無効なことがあるがしだいに良くなることをよく理解してもらう必要がある。
8mm以上 | 適応 |
5〜8mm | 腎・上部尿管では割った方が以後の痛みが無く早く排石されるので、ESWLをやった方がいい。
中・下部尿管結石は通常薬物療法だが、水腎・水尿管症を呈するケースでは行う。 若くてやせた人はエコーで石を見つけやすいので割れる。 |
5mm以下 | 薬物療法
ただし腎・上部尿管結石で頻回に痛むケースでは勧めている。 |
IVライン確保、ペンタジン15mg、アタッラクス50mg IM後
恥骨結合部より2〜3横指上で局麻下カテラン針穿刺を行う。尿吸引をみたらカテランを抜去(刺入部の針を曲げて深さを確認しておく)
同皮膚部を小切開しトロカール(8、10Fr)または膀胱瘻セットを垂直に立てて、筋膜・筋層・膀胱壁の抵抗に打ち勝つようにポーン、ポンと叩いて入れる。
尿が出たら更に3〜5cm挿入して固定する。
専用セットではトグロを巻き抜けないよになっている。
これらがない場合は一時的にアトムチュウーブなどで代用する。
診断
膀胱外傷は膀胱充満時の下腹部打撲による膀胱ドームの破裂 で生じる腹腔内破裂と骨盤骨折時にその骨片によって生じる腹腔外膀胱破裂に分けらる。腹痛、尿閉、血尿、排尿痛、腹水(腹腔内への尿漏れ)があり、膀胱造影にて診断する。膀胱造影時は必ずKUBを撮影してモリソン窩の造影剤を見落とさないようにする。腹腔内破裂は開腹して破裂部の縫合が必要であり腹腔外膀胱破裂はfoley留置で経過観察する。
尿道外傷には主にstraddle injuryによる尿道球部損傷と骨盤骨折に伴って生じる膜様部損傷がある。受診時外尿道口に血液があれば尿道損傷が強く疑われるので決してfoley留置を行なわず膀胱瘻を留置する。それ以外でもfoley挿入時の抵抗、骨盤骨折患者のrectalでの前立腺のfloating所見等で尿道損傷が疑われたら無理してfoleyを挿入しない。
精巣回転症 | 急性精巣上体炎 | ||
年齢 | 10〜20歳、新生児期 | 成人 | |
症
状 |
発症
発熱 疼痛の程度 先行または随伴症状 |
突然、睡眠中に
高熱は少ない 強い 腹膜刺激症状(腹痛) |
2〜3日前から
高熱あり 強い 排尿痛、頻尿、残尿感あり |
検
査 |
検尿
血液炎症反応 |
正常
陽性少ない |
膿尿、細菌尿
陽性 |
局
所 所 見 |
挙睾筋反射
精巣を挙上 (Prehn's sign) ドップラー血流計
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消失
痛みが増すことが多い (実際には当てはまらない症例が多い) 対側に比べ血流低下
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陽性
軽くなることが多い 対側に比べ血流増加
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回転症は発症6時間以内の手術で精巣温存良好、12時間以内で可能である。
疑わしいときは原則的に手術で確かめる
急性精巣上体炎と耳下腺炎性精巣炎も入院点滴
幼稚園児(男女)、成人女子に多く、通常外来抗菌剤治療が可能だが、必ず泌尿器科受診を勧めてから帰す。
ほとんどの症例は1週間位で治るが、稀に膀胱癌、結石などを合併している場合があり、尿検査で治療確認が必要である。