泌尿器科救急疾患

疼痛、発熱、尿閉、肉眼的血尿などの患者は原則的に入院させて点滴などで経過を観察し、翌日泌尿器科を紹介してください。
泌尿器科救急疾患ですぐ命を失うことは稀だが救急室での正確な診断が大切な疾患が多い。
1. 尿管結石   2.肉眼的血尿 3. 尿閉   4. 外傷
  1. 腎外傷
    1. 腎外傷が疑われる時は入院後造影CTとCT後のKUBをとる。
      CTで血腫(腎破裂、腎断裂)の有無、KUBで造影剤の漏れを見る。

      診断  

      1. 腎挫傷:明確な診断は困難な事が多いが一応腎部の受傷に伴った微血尿はあるものの超音波、CT等で明らかな異常のないもので保存的に経過観察する。   
      2. 腎破裂、腎断裂:腎及びその周囲に血腫がみられるもので問題となるのはVitalの変動と尿漏れである。腎よりの出血で血圧の低下が来るようなら塞栓術それでもcontrol出来ない時は  腎摘出術が必要であり尿漏れにはドレナージが必要である。  
      3. 腎茎部損傷:腎茎部損傷は腎動脈内膜のintimal tearの事であり診断が遅れると受傷腎動脈の閉塞を来たして腎機能が廃絶する。診断は疑ったら早期に積極的にIVPかenhance CTを施行して受傷腎の血流を確認する必要がある。腎温存には診断がつきしだい損傷血管の修復のための手術を要する。  
      治療
      1. 保存的治療が主体。
      2. 肉眼的血尿の持続や血腫の増大などで選択的腎動脈塞栓術
      3. ウリノーム形成で経皮ドレナージが後日必要となる。
      4. 腎外傷のみで受傷当日に手術することはほとんどない。
  2. 膀胱外傷  
    1. 骨盤骨折と合併が多く、骨折とともに外尿道口からの出血、会陰部血腫をみる。
      会陰部血腫や排尿困難、下腹部膨隆などがない場合は膀胱外傷のみの可能性が大で、14Frフォリーを丁寧に挿入する。1〜2回やって入らないければ中止する。

      膀胱外傷は膀胱充満時の下腹部打撲による膀胱ドームの破裂  で生じる腹腔内破裂と骨盤骨折時にその骨片によって生じる腹腔外膀胱破裂に分けらる。腹痛、尿閉、血尿、排尿痛、腹水(腹腔内への尿漏れ)があり、膀胱造影にて診断する。膀胱造影時は必ずKUBを撮影してモリソン窩の造影剤を見落とさないようにする。腹腔内破裂は開腹して破裂部の縫合が必要であり腹腔外膀胱破裂はfoley留置で経過観察する。  

  1. 尿道外傷  


5. 急性陰嚢症  

6.急性炎症
  1. 急性腎盂腎炎
    1.  
      結石性腎盂腎炎が問題で入院後点滴抗菌療法。
         
  2. 急性膀胱炎
      1.  
      排尿痛、残尿感、頻尿などに肉眼的血尿を伴う場合は、出血性膀胱炎が考えられる。

      幼稚園児(男女)、成人女子に多く、通常外来抗菌剤治療が可能だが、必ず泌尿器科受診を勧めてから帰す。

      ほとんどの症例は1週間位で治るが、稀に膀胱癌、結石などを合併している場合があり、尿検査で治療確認が必要である。
       

      幼稚園児
      ケフラールシロップ + ポンタールシロップ(0.2ml/kg/回)
      成人
      バナン  2T + ボルタレン2T
      ケフラール3T + ボルタレン3T などに
      アドナ  3T + トランサミン3T を加える。
                          などが処方として使われる。
  3. 急性前立腺炎

  4.  
      高熱とともに排尿痛、頻尿があり、ときに尿閉を起こす。
      入院点滴、下熱処置が必要。