海洋生物刺咬症

海でのレジャーが盛んになるにつけて、海洋生物による被害も増えている。この刺咬傷の特徴は毒の薬理作用の研究や実地臨床の知見も少ないことから、これと言った治療がないことである。

当分の間は次のような処置を行う。

『一般的事項』

    1. vital sign のチェック・・局所によるものがほとんどであるが、水中の事故でパニックとなり   溺水することがあるので注意が必要。
    2. 応急処置の有無とその内容のチエック
    3. 検査・・・軽症では必要なし。中等症以上はCBC,生化学,検尿 など
    4. その他・・破傷風,トキソイド,抗生剤(ほとんど必要ない)
『クラゲ』

 1. 激しいやけどのような痛みと発赤。数日は続く。全身症状として悪心嘔吐、痙攣、血管浮腫、呼吸停止    

   がある。

 2. 患肢を挙上し安静を保つ

 3. 疼痛に対しては鎮痛剤(経口・静注)

 4. 局所の皮膚に対してはステロイドクリーム塗布

 5. 症状持続するときはレジデントにコンサルト

 

『オコゼ・カサゴ・ゴンズイ』

 1. 激しい痛みと浮腫、発赤、皮下出血。全身症状として呼吸困難、発汗、失神がある。

 2. 患肢を挙上し安静を保つ

 3. 疼痛に対しては鎮痛剤(経口・静注)

 4. 傷に刺棘が残っていないか調べる

 5. 症状持続するときはレジデントにコンサルト

 

『ウニ』

 1. 激しい痛みを生じ、発赤、腫脹、筋肉痛を伴う。刺傷が多数に及ぶと、悪心、嘔吐、知覚異常、      

   四肢麻痺、腹痛、失神、低血圧、呼吸困難などの全身症状を呈する

 2. 患肢を挙上し安静を保つ

 3. 疼痛に対しては鎮痛剤(経口・静注)

 4. 刺さった棘は細いものは2〜3週で吸収されるが、可能であれば全部取り除いた方がよい.

   太い棘は残すと異 物反応や感染の原因となる。特に関節や血管・神経の近くや手に残った時は

   レジデントにまかせる。

 5. 症状持続するときはレジデントにコンサルト

 

『アンボイナ』

 1. 局所の痛みはほとんどない。貝を手に持って受傷する。毒は骨格筋に作用し麻痺をきたす。

   全身麻痺や言語障害、呼吸困難など重篤な症状を呈していても体温、脈拍、心肺機能、意識は正常で

   有るのが特徴である。

 2. 全身症状の出現をみるために、全例レジデントコンサルトする。

『ウミヘビ』

 1 .ほとんど痛みがなく局所も腫れない。筋硬直と筋肉痛が5分から8時間内に発現し脱力感、悪心、

   嘔吐、筋攣縮、呼吸困難、全身痙攣などの全身症状を呈する。

 2. 全身症状の出現をみるために、全例レジデントコンサルトする。