骨関節外傷

 

1.外傷患者は全て、受付時よりNPOを指示する。

 手術、徒手整復等麻酔を必要とする患者で、時々、NPOの指示なく、診察あるいはコンサルテーションを 

  待つ間に患者がPOしている場合がある。

2.指輪等身体装飾類は速やかに除去する。

 手指の指輪は循環障害を惹起し、手指のnecrosisを来たす事がある。全例除去する。

3.患部に貼られた湿布剤等は出来るだけ排除する。

 明瞭なフィルムが得られず苦労することがある。

4.レ線部位、撮影方向は正確に。

 レ線部位の決定は注意深い診断により自ら決定できる。骨折の場合は骨折部に一致し圧痛を認める。 

  2R、3R等の記載は不適切である。

・コーレス骨折の場合  不適切な例:前腕2R

             適切な例:手関節正、側

5.初回レントゲン指示はたいていの場合2方向の撮影でよい。

 特殊な軸射、機能撮影等はレジデントに従う。脊髄損傷患者の頚椎の伸展一屈曲位側面レ線指示は   

  無益で危険である。膝蓋骨横骨折の場合の軸射撮影は骨片を離開させる危険をともなう。

6.頚推のレ線指示は正、側、Atlas開ロ位正面とする。

7.腰椎のレ線指示ほ正、側、両斜位とする。

8.たとえ他医(院)よりの持参フィルムがあっても当院でのレ線指示を出す。

 資料保存のため。

9.交通事故等賠償問題の絡む外傷では、患者の要請があればレ線を指示する。

10.骨折等のmechanismを問診、診察でよく把握する。

 転落により足の外傷がみられたら膝、骨盤、脊椎等を手際よくみる。また、dashboard injuryで膝部の  

  外傷がみられたら、股関節脱臼の有無をみる等。

11.四肢の神経症状、循環状態等注意深くみる。

 1)脊髄損傷 -- segmental,long tract sign,sphincter tonusは必ずみる。

  2)鎖骨々折 -- brachial plexus,subc1vian A一V.

 3)肩関節脱臼 -- axillar N,brachial A.V.

 4)上腕骨々折 -- radial N.

 5)上腕骨顆上骨折 -- Volkman's ischemic contracture ,radial N,median N,ulnar N.

 6)コーレス骨折 -- median N.

 7)股関節脱臼 -- sciatic N.(後方脱臼)

 8)大腿骨骨折 -- sciatic N.popliteal A, femoral A.

 9)下腿骨折 -- peroneal N,compartment syndrome.

12.骨盤骨折における血管、尿路系の損傷

  時にroot avulsion,sciatic N.injuryをともなう。神経症状のチェックも。

  1000〜2000mlの出血はよくみられる。vital signは注意深くみる。可及的にshock等の

   managementが出来る様処置する。

13.大腿骨頚部骨折はemergencyとまでいかないまでもurgencyとしてとらえる。

  出来るだけ早期の手術を心がけている。手術に必要なデータをそろえること。

14.レ線フイルムはその番号、カルテヘの描写、研修医のsignを。

  フィルムの描写はレントゲン読影力を養うのに重要である。フィルム番号はデータ整理に便利。    

   研修医のsignは連絡をする上で必要。