産婦人科


1.一般的注意事項
  1. 問診にあたって
  2. 妊娠反応の感度
  3. 女性の嘔吐    
  4. Cervical tenderness
  5. 婦女暴行の場合 
  6. 主訴が生理痛の場合
  7. 下腹部痛で来院の場合
  8. 本人の言う「生理」は真の月経ではない事がある
  9. 不正出血や切迫流産の出血を生理と思っている事がある。
  10. 処置を急ぐべき患者は、問診途中でもスタッフを呼ぶこと
  11. 腹腔内出血によるショックや便意を伴う陣痛は、緊急の対応が必要である。直ちにスタッフを呼び、一緒に診療すること。
2.ルーチンで問診すべき項目  3.性器出血の原因  
  1. 妊娠性
  1. 非妊娠性
    1.  
    2. 10〜20代
      1. 無排卵    
      2. 凝固機能異常
    3. 30代
      1. 子宮筋腫、子宮腺筋症
      2. 子宮内膜ポリープ
    4. 40代(上記1.2.に加えて)
      1. 子宮内膜過形成
      2. 無排卵
    5. 50代以上
      1. 子宮頸癌
      2. 子宮体癌
     ☆その他(しばしば見られるもの) 
    1. 性交後出血
    2. 排卵時出血
    3. 子宮頸部びらん
    4. 不完全な子宮内容除去術後


4.急性腹症の原因;婦人科急性腹症の99%は以下の8つのどれかである。

  1. 腹腔内出血
    1. 子宮外妊娠
    2. 黄体性卵巣出血 
    3. 卵胞性卵巣出血
    4. チョコレート嚢胞の破裂
  2. 下腹部腫瘤
    1. 子宮付属器の茎捻転
    2. 子宮筋腫の変性
  3. 感染症
  4. その他


5.骨盤腹膜炎(PID=Pelvic Inflammatory Disease)

  1. 臨床症状による診断基準(Obstet-Gynecol.vol 61.p113.1983)
    1.  
    2. Major criteria(3つとも満たしている事が必要)
      1.  
      2. 腹部の直接的圧痛±反跳圧痛
      3. 子宮頸部及び子宮体部の可動痛
      4. 子宮付属器の圧痛
    3. Minor criteria(1つ以上必要)
      1.  
      2. 子宮頸部粘液の染色でグラム陰性双球菌の貪食像
      3. 38度以上の発熱
      4. 10000 / mm3の白血球増加
      5. ダグラス窩穿刺又は腹腔鏡により腹腔内の膿を採取
      6. 内診又はエコーで骨盤内膿瘍か炎症性腫瘤を同定
  2. 虫垂炎との鑑別診断
  3. 急性PID
    急性虫垂炎
    1.全身状態 腹痛の割には全身状態が良く、元気。 Sickで元気が無い。
    2.自発痛の部位  発症後24時間たてば両側下腹部痛となる。  最終的には右下腹部に限局する。
    3.圧痛点 両側下腹部 Mc Burney 点
    4.食欲  良好(NPO にすると、空腹を訴えるのが特徴) 無い。
    5.悪心・嘔吐 少ない。 高頻度。
    6.白血球数 重症度とは必ずしも比例しない。 重症度と比例する。
    7.エコー所見 診断上の価値は低い。 診断上有用である。
    8.その他 いわゆる“PID ルック"性体験との関連
☆未婚女性(小児も含む)で虫垂炎が穿孔を起こすと、強度の骨盤内癒着の為に将来の不妊症の原因となる。鑑別診断上迷いがあれば、必ず外科にもコンサルトすること。


6.Fitz-Hugh-Curtis症候群(肝臓周囲炎Perihepatitis )

   
7.腹腔内出血の管理方針 
 

☆但し、エコー所見によっては必ずしもこのとりにおこなわないこともある。これはあくまでも一つの目安である
     
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