救急室を訪れる悪性腫瘍患者は、悪性腫瘍の診断がすでに付けられている場合と、初診の場合がある。前者の場合はさらに、積極的に治療中の場合と、末期状態で対症療法のみ行っている場合とがある。救急室での治療方針の判断に迷う場合は、早めに上級医や癌専門医に相談すべきである。初診の場合は、悪性腫瘍そのものによる症状や悪性腫瘍の合併症による症状を主訴とする場合があり、また、稀には、悪性腫瘍と関連のない症状を主訴として来院し、偶然悪性腫瘍が見つかることもある。悪性腫瘍の救急は、(1)原発悪性腫瘍そのものによる問題、(2)転移による問題、(3)悪性腫瘍の全身的合併症による問題、(4)悪性腫瘍の治療に関連した副作用による問題、と大きく4つに分けられる。