単関節炎

☆単関節炎は通常単一の関節に疼痛、腫脹、熱感、発赤の炎症所見をみるものをいう。
☆ERでの主な役割は、化膿性関節炎を見逃さず、かつ十分な疼痛管理を行うことで� る。
☆臨床疫学的ポイント
 �痛風:中高年男性に多い。大酒家に多い。閉経前女性にはまれ。
     通常急激に発症し、一日以内にピークに達する。
     toe joint podagraやtophusは特徴的。
     高尿酸血症(>7mg/dl)は診断には役立たない。
     (感度90%、特異度 54%)
 �偽痛風:中高年女性に多い。大関節(膝関節など)に好発。
      長期臥床、内分泌代謝疾患等が危険因子。
      X線写真上chondrocalcinosisが特徴的。
 �化膿性関節炎:高齢者や基礎疾患をもつ場合(糖尿病、RA、免疫不全、悪性疾患等)には必ず考える    
         (要コンサルト)。
         発熱無いこと� り。
 �結核性関節炎:肺結核既往患者や高齢者、ハイリスク群で考える。
 �淋菌性関節炎:sexually active youngに多い。
         遊走性関節痛、筋肉痛、皮疹等が鍵。
 �関節内血腫:外傷の有無。病的骨折に注意。
        出血傾向(血友病等)の有無。
☆関節液の貯留の� る場合は穿刺術を施行する。
 �肉眼所見の記載に加えて、WBC数と分画(CBCの容器で提出)および培養検査は必ず提出する。
            WBC数(平均)       好中球%
  痛風・偽痛風 1,000-40,000(15,000)    50-90 
  化膿性関節炎 15,000-200,000(65,000)   75-100
  結核性関節炎 2,500-105,000(23,000)   30-90
 �グラム染色(化膿性関節炎の起炎菌の検索)による検鏡も行う。
  (化膿性関節炎におけるグラム染色の感度65%、特異度99%)
 �偏光顕微鏡による結晶の有無をみる。 
                   感度    特異度
    尿酸結晶           85%    99%
    ピロリン酸カルシウム結晶   60%    90%
☆X線写真-外傷、病的骨折、石灰化等が疑われる場合に行う。
 �化膿性関節炎でも初期には骨関節変化は無いことが多い。
 �chondrocalcinosisが認められても化膿性関節炎は否定できない。
☆入院適応
 �化膿性関節炎
 �結核性関節炎
 �小児単純性股関節炎
 �高齢者または基礎疾患をもつ場合でADLが障害されている場合
☆その他は鎮痛剤を処方して必ず外来へ行かせる(培養結果まち)。

            一般内科 徳田安春