消化管出血
  1. 病態の主体となるものは程度の差こそあれ循環血液量の減少であり,まずそれを補充することが治療の主眼となる.
  2. 昇圧剤の投与は原則として避けるべきである.
  3. 大部分の患者は入院の適応であるので,以下の処置を行いながら,当直レジデントに連絡してその指示を仰ぐこと.
A.チェックポイント

a)血圧,脈拍,尿量,意識状態

  1. 血圧は正常時の血圧を確認し,比較検討すること.
  2. 体位変換による血圧の変動(起立性低血圧の有無)
  3. 頻脈
  4. 脈圧の減少(<30mmHg)
  5. 尿量減少(<30ml/h)
b)吐血,下血の確認
  1. 吐血の性状
  2. 下血の性状(直腸指診)
  3. 空腹時痛の有無
  4. 薬剤服用の有無
  5. 肝硬変の現症,既往歴の有無
  * 鼻出血,喀血を消化管出血と誤まることああるので注意する.

B.検査

 * Htは出血後数時間以上たたないと下降せず,急性期は正しい出血状態を反映しないこともある

C.処置

  1. 輸液ルートの確保
  2. 胃洗浄
  3. * 十二指腸潰瘍出血の場合,洗浄しても血液がひけないこともある.
     
  4. Foley留置・・・尿側
  5. Sengstaken Blakemore tube
* 輸液の必要な例は400ml〜1,000mlをバイタルが安定するまで急速に輸血する.いたずらに,だらだらと輸血しないこと.輸血時はスタッフにコンサルトする.

* 原則として,バイタルが安定してから内視鏡を行う.安定しない場合は,スタッフにコンサルトする.緊急手術の可能性もある.