いかなる胸痛も頓死するところの急性心筋梗塞、大動脈解離等のA-1群可能性があり、診断に難渋するものが存在する。 いかに早く診断をつけて適切な治療を開始できるかが、ポイントとなる。可能性があればスタッフに応援を求め、1)酸素投与(2-3 l/min)
2)輸液路の確保(必ずエラスター針で)
3)心電図モニターおよび動脈酸素飽和度モニター
4)12誘導心電図(名前、日時を記載)を施行しつつ病歴をとる。
5)胸部レントゲン(必ずポータブルで)
6)動脈血ガス分析(状態が落ち着いていれば酸素投与前に)を施行する。
<A-1群>*胸痛の病歴;PQRST
1)急性心筋梗塞急に起こる胸骨後部の不快、圧迫感(痛みとして訴えない場合がある。 ま2)狭心症
た上腹部の症状のこともある)を訴え冷や汗を伴うことが多い。心電図上複数の誘導でST上昇がある。梗塞が大きければ心不全やショック、下壁梗塞ではブロックを合併し症状が修飾される。発症24時間以内では心室細動を起こすことも多い。血圧が保たれていればNTG舌下/持続点滴、胸痛のコントロールにはmorphine/bupurenorphineを用いる。根本的な治療はダイレクトPTCAによる再潅流療法である。いずれも発症6時間以内でないと意味が無いのでいかに患者が来院してから再潅流までの時間を短くするかが救急室での最も大きな仕事であり、最初からCCUスタッフをコールして診るべきである。典型的には労作性の胸部不快で、安静4-5分でおさまることが多いが、異型3)大動脈解離
狭心症では夜間安静時、不安定狭心症では労作のみならず、時間を問わず安静時軽労作時でもおこりうるし持続も長い傾向がある(<30分)。心電図は発作がおさまって来院している患者では異常を認めないことも多いので注意。 来院時心電図変化があれば、NTG舌下後、NTG/Heparinを持続点滴しつつCCU入院。心電図ははっきりしないが病歴が強く疑われれば、やはり入院させるべきである。突然発症する胸部背部痛(心筋梗塞より急激でしかも激烈)が特徴。しかし4)肺塞栓
Stanford A型の30%近くは、突然のcollapseや意識障害が表に出て痛みが主訴とならない。A型B型ともに2/3の症例に高血圧歴があるが、来院時160 mmHg以上を呈するのはB型で約60%であるのに対しA型では10%しかなく逆にA型の50%以上は90 mmHg以下のショックで来院する。心タンポナーデ、心筋虚血、脳梗塞、四肢動脈閉塞、消化器虚血など多彩な症状の組み合わせとなりしかもそれぞれが独立した疾患と誤診されやすい。知識がなく疑わなければ、救急室で最も誤診しやすい疾患の一つである。胸部レントゲンで縦隔拡大が多い。心電図はまったく正常であることはは少なく高血圧による慢性変化 (LVHなど)も多くかつA型の50%には急性ST-T変化を来す。疑えば体表面エコーとCTのみで診断は可能。治療はA型なら即手術。B型は原則降圧。Riskとして術後、長期臥床があり、むしろ病棟でおきる救急疾患として重要であるが、救急室へのとびこみもありうる。胸痛は必ずしも認めないが、呼吸苦や突然のcollapseが主訴となることが多い。バイタルでは低血圧と頻脈、チアノーゼが特徴でこれに頚静脈怒張などの右心不全症状が加わる。胸部レントゲンは肺動脈の拡張、肺血流低下などをみることもあるが梗塞とならない限り肺野に異常陰影は認めない。心電図は右脚ブロック、右心負荷を呈する。心エコーで右室負荷を確認し肺血流シンチまたは肺動脈造影で診断し抗凝固療法(ヘパリン)または血栓溶解療法(t-PA UK)を行う。5)気胸;緊張性になれば重篤となる。
Provacative-palliative*胸痛・悪心嘔吐・冷汗はAMIのTriadである。
Quality
Region
Severity
Timing